d.M Lab Report 001-010

d.M Weekly Lab Report 010

d.Mにおける

メディテーション・テクノロジー2

Reporting Member

七沢智樹

概要

七沢研究所が開発したデジタル・メディテーション(d.M)は、日本古来の瞑想を最新のデジタルテクノロジーによって進化させた瞑想法です。七沢研究所では、より容易に瞑想の状態に入る方法でありメソッド、システムを研究開発しています。今回は、REPORT008に引き続き、d.Mにおけるメディテーション・テクノロジーについて説明していきます。

特に、SIZIMA再生時の皮膚を通した振動伝達のメカニズムについての仮説を検討します。

1 はじめに

LOGOSOUNDSYSTEM.は、前回お伝えした、d.Mに最適な周波数から構成されるSIZIMAを再生するために存在します。(LOGOSOUND Audio/LOGOSOUNDSYSTEM.についてはこちらhttps://www.logosound.com/tools)

このLOGOSOUNDSYSTEM.には、「LOGOSOUND Audio」や「なみのりふね」、現在開発中の無重力感覚振動装置(仮称)等があります。さらには、電流のノイズをカットしそこにロゴストロン周波数を重畳させる「ロゴストロンAC」等を組み合わせることが可能です。

これらの装置は、SIZIMAやTAKIONといったメディテーションのために開発した音源を、振動として、ダイレクトに精緻に皮膚や鼓膜から伝達することで、「メディテーションしやすい意識状態を安定してつくる」ことを目的としたものです。このレポートでは、その「メディテーションしやすい意識状態を安定して作る」ためのメカニズムについて、特に「皮膚の受容体と振動」という点で検証します。

2 五感を通した意識の深まり

2.1 センサーと皮膚の振動

すべてのものは常に振動していて、その振動が伝達されることで、「情報伝達」が起きます。これは鼓膜や光と電子の関係の原理のみならず、宇宙普遍の原理(※1)といえます。

たとえば工業的なセンサーは、自然現象や人工物の機械的・電磁気的・熱的・音響的・化学的性質あるいはそれらで示される空間情報・時間情報を、何らかの科学的原理を応用して、人間や機械が扱いやすい別媒体の信号に置き換えるものです。

こうした情報のセンサーを、人間も同様に保持しているといえます。「皮膚」は、実際に物質が触れた場合のみならず、空気が触れることでもその周波数の伝達を受け、その流れを感知しています。

このような五つの感覚器を通したいわゆる「五感」はよく知られるところですが、この周波数を感知する、人が本来持っているセンサー能力を上げていくことで、気の流れ、場のエネルギーの変化の察知や、物事を予知するような「虫の知らせ」なども感知するに至ります。こうしたいわゆる「第六感」もまた人間の持つ「センサー」の働きであり、なんらかの周波数の受信であるという仮説を前提に、七沢研究所は研究開発を行なっています。

(※1) 古神道においては、産霊(むすび)や、白川神道における「フルベ」と呼ばれる概念に相当する。

2.2 皮膚の振動特性

そのセンサーのひとつである人間の皮膚は、触圧を感知するSAI(メルケル細胞)、RAI(マイスナー小体)、SAII(ルフィニ終末)、RAII(パチニ小体)という4つの受容器が存在します。順応の早いものと遅いもの、受容野の狭いものと広いものがあり、それぞれに感受性の高い周波数帯や得られる感覚、そして解剖学的な存在位置も異なっています。(※2)


この4種類の特性については、それぞれ

• RAI(マイスナー小体) は圧力に対し速やかに順応し、物体の端や小さな不規則性など細かい変化に反応する

• RAII (パチニ小体)は圧力に対し速やかに順応し、物体の表面をなぞった時の振動の感受に携わる

• SAI (メルケル細胞)は圧力に対し遅く順応し、持続した刺激による軽い圧刺激を検出、わずかな凹凸や輪郭を感受する

• SAII (ルフィニ終末)は圧力に対し遅く順応し、皮膚の曲げや圧縮に反応するため物体を掴んだ時の感覚を生じるとされています。(※3)

図 ヒトの無毛部皮膚機械受容器の分類

(上図、およびその詳細は、こちらを参照してください)

3 メディテーションテクノロジー(MT)の刺激

3.1 SIZIMAの周波数


d.Mにおけるメディテーションテクノロジーによって発振される周波数の特性や帯域について、特に屋内における「LOGOSOUND Audio」から再生される音源(SIZIMA)の周波数を測定した所、以下のようになりました。(※4)(最初の図:SIZIMAを再生していない状態 次の図:SIZIMAを再生している状態)

SIZIMAは、約6-50Hzのロゴストロン周波数のみで構成されています。音源自体には50Hzを超える周波数は入っていませんが、複雑に構成されたロゴストロン周波数のプログラムが生み出す共鳴が、50Hzを超える周波数帯を倍音として生み出し、うねりを生んでいるのが特徴です。

実際に測定してみると、20Hz(測定の下限限界)から約500Hzの範囲まで発振されており、概ね6-200Hzが一つの帯域(周波数レンジ)となっていることが推測されます。(※5)

「なみのりふね」「無重力感覚振動装置(仮称)」を使用することで、この周波数を、皮膚振動や骨振動として、よりダイレクトに体感することができます。

SIZIMAを再生していないときの部屋の周波数

SIZIMA再生時の部屋の周波数

(※4) はふりね1を使用。屋内でスピーカーから約Ⅰメートルの距離で測定(TAKURI HOUSE内食堂)
(※5) 音源には、6−20Hzの周波数も含まれ、さらには、図の20Hz−80Hzの曲線から推測すると20Hz以下の音も発せされていることがわかることから推測した。

3.2 メディテーションテクノロジーの刺激と受容体

次に、これらのメディテーションテクノロジーの刺激を、どのように皮膚の触覚が捉え、どのような受容体を通して脳に刺激として伝達しているのかを、検討してみたいと思います。

このSIZIMAによる振動は、1.周波数レンジ 6−200Hz、2.連続パルスによる刺激、であることから、前掲の「ヒトの無毛部皮膚機械受容器の分類」を見ると、SAI(メルケル細胞)が、その受容体に該当することがわかります。

前述の通り、メルケル細胞は持続した刺激による軽い圧刺激を検出し、わずかな凹凸や輪郭を感受する受容体であると考えられてきました。その後、2014年には、やさしく押された皮膚の感覚を脳に伝達する上で、表皮メルケル細胞が重要な役割を果たしている(※6)ことや、表皮のメルケル細胞がやさしく触れられた刺激を受容して求心性神経に伝える機能が明らかになりました。(※7)

3.3 メディテーションテクノロジーの刺激と電気信号

メルケル細胞は、神経細胞(感覚ニューロン)と直接つながっており、その刺激が、ピエゾ素子(※8)と同じように、圧電効果(※9)によって電気刺激として伝達されます。

圧電素子とは、圧電体に加えられた力を電圧に変換する、あるいは電圧を力に変換する圧電効果を利用した受動素子です。

4 結論

以上から、とくに、直接肌に触れる「なみのりふね」や「無重力感覚振動装置(仮称)」を通じた、SIZIMAによる刺激(振動)並びに、そこに含まれる情報が、このメルケル細胞を通して中枢神経に運ばれ、脳や意識に何らかの影響を与えているという仮説が成り立ちます。


なみのりふねや無重力感覚振動装置の場合は、ハニカムシリコンマット(※10)の振動(つまり、皮膚にとっては連続して凸凹が入れ替わっている状態として感知される)として、連続した微細な周波数を皮膚に伝えることができます。

今回は、大まかな仮説を立てるに留め、今後、より詳細な作用機序を明らかにしていきたいと思います。

(※10) 七沢研究所取得特許:特許番号5686362号音響療法用ベッド

5 次回のテーマ(予定)

周波数振動によって伝達される情報が、「音像」を生みます。これが意識の中に映し出され、人によっては、実際に視覚によって捉えている映像と同じレベルで音像が見える場合もあります。その体験はまさにVRであり、音像とVR、AR、MRの概念は密接に関わります。そしてそれらの体験が意識進化と繋がっていくのです。

ロゴストロンの周波数をメディテーションにとって最適な音像へと変換し、意識に作用させる試みについて、お伝えしたいと思います。

d.M Weekly Lab Report 009

非言語(Non-Verbal)d.Mの提案

Reporting Member

渡邊真輝子 深沢孝之 大島英明 七沢智樹

概要

七沢研究所が開発したデジタル・メディテーション(d.M)は、日本古来の瞑想を最新のデジタルテクノロジーによって進化させた瞑想法です。七沢研究所では、誰でも簡単に最適なメディテーションの境地へと入ることができるように、デジタルテクノロジーの開発に取り組んでいます。前回のレポートでは、d.Mにおけるメディテーションテクノロジー(MT)のメカニズムとして、ロゴストロン周波数や音源の一つであるLOGOSOUND_SIZIMAについて解説しました。今週は、Non-Verbal d.Mについてお伝えします。この方法により、d.Mを行うにあたって設定した目的に沿って、意識の深まりを言語を使わない方法で共有できます。

1 はじめに

マインドフルネス瞑想の主な目的は、雑念を取り除くこと、空の意識状態に至ること、そうした意識状態による副次的な効果の獲得です。

d.Mの目的もまた、意識を空の状態に導くこと、雑念を払うこと、囚われのない意識状態になることですが、さらにd.Mを行う目的を設定し、その目的に沿って意識を深めることが可能です。

本レポートでは、瞑想で行われている誘導についてまず解説し、d.Mの非言語的誘導性(※1)とその可能性について取り上げます。


(※1)「非言語」とは、言語によらないさま、言語を手段として用いないことなどを意味する語。もっぱら「非言語コミュニケーション」の表現で用い、身振り手振りや表情などで意思疎通を図ることを指す。

2 瞑想と誘導

瞑想状態に入るために、誘導が有る場合と無い場合があります。一般的に誘導瞑想とは、瞑想経験のある第三者のナレーションや音楽、CDなどで瞑想を誘導し、それに従って瞑想を行う方法になります。例えば、呼吸瞑想では、瞑想状態に入るようにインストラクターの声によるガイドによって、呼吸に集中していきます。この誘導瞑想では、意識を今どこに持っていったら良いかなどを指示があるため、特に初心者には集中しやすく、声に意識を向けることで雑念に惑わされにくくなるという効果があります。

一方、誘導を行わずに、呼吸など何か対象となる1点に意識を集中したり、対象を定めずに心に浮かんだことをありのまま観察する瞑想法などもあります。

誘導瞑想においては、呼吸や体、意識の状態を指示され、瞑想者はその状態に自らを近づけようとしますが、d.Mでは体や意識の状態を指示する言語的な誘導はありません。

d.Mは、d.Mによって起こる意識の反応そのものを観察することを目的にしているため、必ずしもその反応を言語化したり、特定する必要はありません。また、言語化することで、自分自身を誘導してしまい、かえって囚われのない意識状態に至るというd.M本来の目的からそれる可能性があります。

3 d.Mにおける誘導

d.Mにおける誘導は2つあります。ひとつは、「われはアメノミナカヌシの御末(みすえ)の御子(みこ)なり。遊離(ゆうり)の五魂、わが中府(ちゅうふ)に鎮まりましませ」と、口伝により継承されてきたこの一言によって、「全てを表す」、「その境地を表す」という誘導、もうひとつは、メディテーションテクノロジーによる誘導です。

d.Mの誘導

  1. 口伝の言葉
  2. メディテーションテクノロジー
    1. SIZIMA
    2. LOGOSTRON
    3. LOGOS Vibration Unit...

一般的な誘導とは異なり、d.Mの口伝の言葉には体や意識をリラックスさせる、といった目的はありません。また、d.Mの最中に流される周波数や音源も、d.M参加者に言語的な指示を出すものではありません。

上記以外の誘導を基本的に行わないのは、これらの誘導で、自分で自分の意識の状態を発見できる状態になると考えられるからです。

4 ファシリテーターによる誘導

このように、口伝で継承されてきた文言とメディテーションテクノロジー以外の誘導は基本的に行いませんが、何らかの「ファシリテート」があることで、d.M参加者の体験がより充実したものになることも事実です。

しかし、「言語」はその性質上、意識に方向性を付ける力が強いので、上記の文言以外は、なるべく意識に入れないことが望ましい状態ということになります。例えば、d.Mにおいて、「言葉」で自分の状態やd.Mを行った感想を言うことは、かえって、自分で自分を誘導してしまう可能性を生じさせるのです。

一方で、どんな方法でも(たとえ、非言語の方法でも)、自分を誘導する状態をゼロにすることは困難です。(※2)しかし、言語化をなるべく行わないことで(特に無意識のうちに言語で誘導してしまうことが多い)、大幅に誘導を減らすことができます。一方で、言語化しないと、d.Mの目的も曖昧になります。

本レポートでは、言語を使わないで行うd.Mの可能性を検討します。

(※2) 例えば、d.Mによって、オーラが見えることや、透視された状態になり、ビジョンが見えたりすることも報告されています。このように、、d.Mでの感想や感覚、見えたものを絵に描いたりすることは、逆に、自分の意識を誘導しかねないため、実は、d.Mによって見たものを絵にすることが必ずしも最適とは言えません。

5 目的の明確化

臨床マインドフルネスが心理状態の最適化のため、ビジネスマインドフルネスがビジネスの成果を上げるために行われるように、d.Mも、それを行う目的が重要です。

そこで、言語を使わない誘導という試みが、第四回第五回のレポートでもご紹介した非言語型ワークとの融合でした。

七沢研究所では「イソノミヤ」という概念を提唱しています。それは、これからの新しい時代の社会のあり方、人間本来の生き方ができる社会を意識の中に創造することによって現実化することであり、七沢研究所の研究開発のテーマです。

例えば、「イソノミヤ」をテーマとして設定し、d.Mを行った後に「イソノミヤ」のビジョンを絵に描き、それをシェアします。(※3)これは、比喩的なワークを通じてテーマを表現するという、右脳を使ったワークです。

d.Mの後に絵に描くことで、d.Mのために設定した目的に沿って深い意識レベルで方向付けをおこなうことが出来ます。また、言葉での無意識な誘導を避けることも可能です。

この方法によってd.Mを行うにことにより、設定した目的にそって意識の深まりを非言語で共有できます。まず、その方向性を前提とした上で言語化しないことで、d.Mがより深まる可能性があるのです。

そのため、今後、d.Mにもノンバーバルな方法を取り入れていくことが良いのではと考えられます。

(※3) 例えば、d.Mによって、オーラが見えることや、透視された状態になり、ビジョンが見えたりすることも報告されています。このように、d.Mでの感想や感覚、見えたものを絵に描いたりすることは、逆に、自分の意識を誘導しかねないため、実は、d.Mによって見たものを絵にすることが必ずしも最適とは言えません。

6 外在化とナラティブの創造(ストーリーの再構築)

心理療法の一つに、自分のことを客観的に捉える外在化という方法があります。外在化とは、自分の問題を外側に取り出すことによって、自分自身と問題とを切り離すことです。問題の外在化(※4)では、内在化している問題を外側に置いて客観視し、内観していきます。これは、ナラティブセラピーといって、自分を支配しているストーリーを再構築(※5)し、「問題を問題ではなくする」ことを目指します。

鎮魂石を中心に輪に囲んで座っている状態は、外在化した問題をみんなで見ているという構造に繋がります。これは、三人称の視点で輪になっている状態です。つまり、問題をみんなで見ているという第三者の視点を持つことで、問題を客観的に認識できるようになります。問題と自分を切り離し、客観視できるようになって、ストーリーの再構築(ナラティブの創造)ができるようになります。

通常、人は言葉を紡いで文章を作っていきますが、そこには、非言語情報が存在し、その非言語情報が高まることでストーリーが作られます。言葉を使わないことで、言語化する前の非言語情報を高めることが可能となります。

ノンバーバルのd.Mも行うことで、その場にいる人たちがイソノミヤに向けて、それぞれのストーリーを創造していくことが重要となります。それは、初めから言語で表現するよりも、非言語情報を蓄積することで、かえって日常生活における言語化が最適になるからです。

(※4) ナラティブセラピーでは、「問題は自分自身の中にあるのではなく、外にある」「自分が問題なのではなく、問題が問題である」ことを認識させることがポイントになります。
(※5) 新しい意味や解釈を見出していきます。

7 新しいd.Mのあり方の提案

具体的方法として、まずテーマを決めます。そのテーマについて詳しく言語化する前に、非言語な方法で表現します。(非言語な方法で行うことで、言葉による誘導を極力避けていきます。)

例えば、そのテーマへの自分の関心を距離で表現する、その後、どれだけ行動できているかを表現する、そして、今後どのくらい行動したいのかを表現するといったことを行います。こうすることで、そのテーマに対して、問題への向き合い方、自分の向き合っている状態や感覚が見える化していきます。それを自分で確認することで意識にしっかり入ります。言葉を使わず、体と感情、右脳と身体を多く使うことで、意識が自分の内側に向くようになります。

その上でd.Mを行います。ノンバーバルの方法でd.Mを行うことで、目的に向けて意識の方向を合わせることができ、意識の深まりを共有することができます。次に、リセットして、絵で表現します。そして、ノンバーバルで感想をシェアすることで、ノンバーバルな情報が高まり、言語化が最適な状態になります。それは、無理に言語化するよりも、非言語情報が高まることで、心と直結した言語が生まれるようになるからです。d.Mの新しいあり方としてノンバーバルなシェアをこれから開発していく予定です。

新しいd.M(Non-Verbal d.M)の提案


  1. テーマを決めます 例:テーマ「イソノミヤ」
  2. 体で表現する非言語ワーク: テーマに関して、質問を行い、体で回答を表現する。そのテ ーマへの興味レベル、行動レベルなど
  3. d.M を行います。
  4. 休憩

5. 絵、音などで表現する非言語ワーク: テーマに関して、絵や音などでそのイメージを表現し、ノンバーバルのシェア(描いた絵等をシェア)を行います(絵を評価しない)

6. d.M を行います。

7.決意表明(意志を発する):最後に、各自の決意表明を言語化してシェアします。(とくに、d.Mの感想をシェアしなくてもよいのです。)

d.M Weekly Lab Report 008

d.Mにおける

メディテーション・テクノロジー1

Reporting Member

七沢智樹

概要

七沢研究所が開発したデジタル・メディテーション(d.M)は、日本古来の瞑想を最新のデジタルテクノロジーによって進化させた瞑想法です。七沢研究所では、誰でも簡単に瞑想の状態に入れることを目指し、研究しています。前回のレポートでは、視野と脳のメカニズムと、d.Mの効果の一つである創造性が高まるメカニズムについて論説しました。本レポートでは、d.Mにおけるメディテーションテクノロジー(MT)のメカニズムとして、周波数について解説します。

1 d.Mのビジョン

最適なメディテーションを行うには、五感を最適な状態にすることが大切です。また、五感を最適な状態に整えることで、メディテーションの目的の一つとされる、五感を超えた第六感へアプローチすることも可能になります。

実際に、メディテーションを行う環境として、静かで、落ち着いていて、エネルギーの高い場所がふさわしいとされています。さらにそこに、音楽やアロマを加えることで、メディテーションが深まります。一方、このようなメディテーションに最適な環境を日常に用意することは、簡単ではありません。

そこで、七沢研究所では、時間や空間の影響に左右されずに、いつでもどこでも、最適なメディテーションの環境をつくることができるテクノロジーの研究開発に取り組んでいます。そして、研究開発したテクノロジーを、世界中の人々に利用していただくというビジョンをもっています。

2 環境の周波数

環境を決める要素は様々にありますが、それらの多くの要素は、周波数(※1)によって規定されています。匂い、自然の音、音楽、場所などの情報は、それぞれ周波数としてデジタルに表現することが可能なのです。また、あらゆるものが固有の周波数で振動しているという考え方もあります。

例えば、この地球の地表面と電離階層の間は、7.8Hz を基礎とした固有振動数(シューマン波)で振動しています。そして、その周波数と人間の「脳波(θ波、α波、β波、γ波)」は、永い生命の歴史の中で自然と連動するようになりました。


また、ドイツのバウビオロギー(※2)の考え方によると、ジオパシック(※3)など、水脈や断層などから、人間の健康や意識の集中などを阻害する周波数が発せられているとされています。実際、バウビオロギーでは、そのような周波数に病気の原因があるとし、それに対応するための対処法も体系化され確立されています。日本ではドイツのようにバウビオロギーは確立されていませんが、ドイツ以上に、断層や水脈の影響が存在しています。日本の場合、断層が多く、水も 豊富で水脈が多いため、その影響を防ぐ対応が必要となります。

(※1) 周波数とは、1秒間に繰り返す波の数のことです。60ヘルツ(Hz)とは、波(山と谷で1組)が1秒間に60回繰り返すことをいいます。
(※2) ドイツ語の「建築(バウ)」、「生命(ビオ)」、「学問(ロゴス)」を組み合わせた造語。建築生態学。
(※3) ギリシャ語のgeo(地球)とpathos(病気)を組み合わせた造語。

3 周波数変換と発振のテクノロジー

周波数は、音や電磁波に変換可能ですので、メディテーションにとって最適な周波数を、何らかの方法で発信することで、最適な環境を用意することができるはずです。七沢研究所では、ロゴストロン周波数という言語周波数(※4)から導き出された周波数プログラムを開発しています。

このロゴストロン周波数プログラムによる周波数をメディテーション時に流すことで、メディテーションに最適な場をつくり、実践者の意識を最適な状態に誘導する試みを行っています。

(※4) ロゴストロン周波数とは、言語周波数をもとにした「疎密波」です。ロゴストロン周波数発振モジュールは、各父韻、母音に割り当てられた小数点二桁のロゴストロン周波数を正確に発信するために、2010 年以来、開発が続けられています。具体的な数値が決まった一定の周波数ではなく、父韻の周波数と母音の周波数が、言語プログラムによってその都度、プログラムされながら発信される仕組みになっています。

4 LOGOSOUND_SIZIMA 五行響

ロゴストロン周波数を含んだ音源の一つが、『LOGOSOUND(※5) SIZIMA(ロゴサウンド五行響(※6)(しじま))』です。この基本振動の体感者から、「子宮の音」という表現が数多く報告されています。子宮の生命を生み出す場の響きは地球の胎動であり、137 億年前の宇宙創造の響きとも繋がります。実際に、『LOGOSOUND_SIZIMA』の響きは、「天の響き」(惑星(父韻・子音))の周波数)と「地の響き」(地球(母音)の周波数)からなります(約6~50Hz)。その響きは、耳で聴くというよりも体で体感する振動といえるでしょう。

その振動は、人間の意識の五階層(※7)に作用する五行の響きであり、魂を鎮め(鎮魂)、意識を地に鎮める(グラウンディング)響きです。

LOGOSOUND_SIZIMA を再生すると、私たちの意識を鎮めるのみならず、地球のエネルギーを鎮める「地鎮」の響きとして空間に浸透します。

d.Mは、このロゴストロン周波数の音源の中で進められていきます。このメディテーションテクノロジー(MT)によって、人の体、意識に最適な周波数をダイレクトに伝え、より深いメディテーションの境地へと誘導します。


(※5) ロゴストロン周波数を幾重にも重ねることで完成した音で、ダイレクトに人の体に振動として伝わります。
(※6) 通奏低音として使用されるLOGOSOUNDの基本振動になります。
(※7) 七沢研究所では、この宇宙のすべてを神・霊・魂・情・体の五階層に分類する思考法を提唱しています。

5 体験談

d.M体験者から、SIZIMAに関する様々な効果が報告されています。

▶ SIZIMAの音に意識が行って、心地良くて、「場」を意識できて、皆と一緒に共有しているのかな?って感じました。

▶ SIZIMAの音源の影響もあって、集中感があった。(自分の瞬きが気になるのを軽くした)

▶ 今回1週間で2回続けて参加させて頂きましたが、周波数をものすごく体感する事ができました。びっくりです。とても良い体験が出来ました。

▶ ひとりで行っている時と違う体感がありました。SHIZIMAの効果も実感できました。


▶ SHIZIMAの響きを身体で感じることができた

▶ 意識がはっきりとした感じでした。SIZIMAの音が心地よくなってきました。

▶ 最後の鎮魂がなんだかすごかった。霧の世界にSIZIMAの音だけが鳴っていた。不思議な感覚でした。

▶ いつもSIZIMAをかけていたが、今日改めてSIZIMAのONとOFFの違いを実感した。

このように、周波数や音源による体感の違いが体験談として報告されています。


6 まとめ

本レポートでは、メディテーションテクノロジー(MT)として、ロゴストロン周波数や音源の一つであるLOGOSOUND_SIZIMAについて解説しました。

七沢研究所では、誰もが簡単に最適なメディテーションの境地へと入ることができるように、デジタルテクノロジーの開発を目指しています。

次回は、周波数再生装置についてレポートします。

d.M Weekly Lab Report 007

d.Mにおける視野と作用メカニズム 3

概要

七沢研究所が開発したデジタル・メディテーション(d.M)は、日本古来の瞑想を最新のデジタルテクノロジーによって進化させた瞑想法です。本レポートでは、前回に続き、デジタル・メディテーションの視覚メカニズムや作用について考察していきます。

1 はじめに


前回のレポートでは、物理的・心理的な原因による認知の錯誤について紹介しました。マインドフルネスや瞑想での先行研究から、脳の各部位の変化により、感情調整やデフォルトモードネットワークの変容、そして 客観視が深まることについて解説しました。d.Mを行うことによって、主体と客体、そして、統合する視点を客観的視点が持てるようになるという前提の上で、本レポートでは、視野と脳のメカニズムとd.Mの効果の一つである創造性が高まるメカニズムについて論説します。

2 瞑想による創造性向上の研究


オランダ・ロッテルダムのエラスムス大学では、マインドフルネス瞑想が短期間で創造性を高めてくれることを検証するための実験が行われました。129名の被験者(全員学生)を3つのグループに分け、創造的作業をしてもらった結果、マインドフルネス瞑想したグループは、瞑想をしなかった2つのグループに比べ、出されたアイデアが、はるかに多様性に富んでいたことがわかりました。

マインドフルネスなど瞑想と創造性が高まっていくことの深い関係性は他の研究からも明らかになっています。

また、第2回目のレポートで、マインドフルネス瞑想を行うことで、DMN(デフォルトモードネットワーク)が変容し、脱中心化が進むことで、余計なことに囚われず、脳がリラックスした状態になることについて説明しました。脳科学の分野でも、脳がDMN(デフォルトモードネットワーク)の状態であることで、ひらめきや創造力が高まることの関係性が研究されています。

3 視野と脳におけるメカニズム


3.1 脳内における視覚情報処理プロセス(※1)

外部からの視覚情報が脳へ伝わる際に、右半視野の情報が視交叉(※2)を経て左脳の一次視覚野(V1と呼ばれる領域)に伝わります。また、左半視野の情報は右脳の一次視覚野に伝わります。V1(一次視覚野)の段階では、右脳と左脳の情報は分かれたままで、実際にはエッジの検出(※3)をしている状態になります。そのため、脳内では像として、映像は成立していません。そこから、色、形、奥行き、動きなど、要素ごとに異なる領域で処理されて(※4)、最終的に像としての認識が形成されます。

その過程において、V1段階では、レチノトピー(※5)と言う、網膜で得た情報の位置関係とかなり正確な対応を持ったマッピングが形成されます。そして、このレチノトピーは、V2、V3…と、視覚野の中でも高次に移るにしたがって薄まります。


【図1 視野と脳のメカニズム】

(※1) 図1参照 。
(※2) 左右の眼球の網膜からでた視神経繊維が分岐し交わるところ。
(※3) 画像処理において,物体の形状を調べるため,明るいところと暗いところの境目を強調して取り出すこと。
(※4) その間も各領域では情報が行き交います。
(※5) 網膜部位再現性。

3.2 外界と内界を結ぶメビウス構造

京都大学の「モノの背後を見る脳の仕組みを解明 -視対象の部分像から全体像を復元する第1次視覚野の活動をfMRIで観察-」研究(※6)によると、

機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を用いた実験で、遮蔽物体(図2参照)を見ている際の人間の脳活動を計測した結果、後頭部に位置する第1・2次視覚野(V1/V2)において、遮蔽されて欠損した視覚像がまるで絵を描くように補完されて、物体の全体像が再構成されていること、また観察者が事前に得ていた物体の全体像に対する知識によって、補完活動が変化することが明らかになりました。

【図2】


【図2】には、実際には無いはずの三角形を2つ「見る」ことができます。つまり、私たち実際の視覚情報だけではなく、自分の記憶や知識を合わせて外界を「見ている」のです。

ここから高次の視覚野で情報が処理される上で、別々だった情報が結ばれ、最終的に脳内で像が統合されているという可能性が見出せます。

つまり、実像(現実の存在)が視覚を通じて脳内で再構築(虚像)され、その過程で蓄積された(記憶等の)虚像データが加わることで実像的虚像(リアルな存在として感じる対象)が出来上がります。私たちは、虚像に虚像を合わせることで、それを実像と捉えているのです。

「裏の裏で表に戻る」という一連の流れは、視野と脳におけるメビウス構造(※7)と捉えることができ、京都大学の研究はその一端を示していると言えます。

このように視覚と脳のメカニズムから、実像と脳内で作り上げられた像(虚像)がメビウスの輪のように、外側と内側(脳内)間で循環している構造が見えてきます。つまり、人は外界と内界の情報を循環、同調させながら、脳内でイメージを作り出し、同時に、外界を認識していると言えます。


(※6) 山本洋紀 人間・環境学研究科助教、江島義道 同名誉教授、番浩志 脳情報通信融合研究センター研究員(元人間・環境学研究科所属)、福山秀直 医学研究科教授、花川隆 国立精神・神経医療研究センター脳病態統合イメージングセンター分子イメージング研究部部長(元医学研究科助教)
(※7) メビウスの輪:表と裏が反転してねじれながら、八の字状に循環している輪

4 d.Mによる創造性向上作用のメカニズム(※8)


4.1 鎮魂石とゼロポイント

d.Mでは、鎮魂石(黒曜石(※9))を輪の中心に置きますが、この鎮魂石はゼロポイントを象徴しています。d.Mを行う上で、このゼロという概念はとても重要です。

ゼロとは、すべてを含む概念、根源的なもの、原型に当たり、仏教でいう「空」の概念、そして、最先端科学の量子物理学でいう「ゼロ・ポイント・フィールド(真空)」の概念と等しいものです。つまり、「ゼロ」とは「何もない」のではなく、「すべてが含まれ、そこからすべてが生まれ、すべての情報とエネルギーが含まれている」ことを意味しているのです。

また、色の三原色では、同じ割合で三色を混ぜると黒になることから、鎮魂石の黒とはすべてを包括する色であるのと同時に、すべての可能性を秘めた根源の色と言うことができます。d.Mでは、この鎮魂石に象徴されるゼロポイントを、全てを生み出す創造の起点と捉えて瞑想を行います。


4.2 ゼロポイントと意識の同調

左右の目で、空間全体と一体化した鎮魂石を見ることで、鎮魂石の情報が視交叉を経由して、各階層の視覚野で処理され、脳内で鎮魂石の映像が統合されます。このとき、メビウスの輪の流れにより、左右の脳が同調し、情報が循環することで、右脳と左脳が振動し、共鳴していくと考えられます。

d.Mでは鎮魂石と意識を同調させることで、「すべての情報が畳み込まれている創造の起点」としてのゼロの概念と脳内の情報の同調に繋がり、その結果、様々なアイデアが浮かび、創造性が高まると七沢研究所では仮説を立てています。

【図3 d.Mのメカニズム】

(※8) 図3視野のメカニズム参照
(※9) 黒曜石は、三内丸山遺跡(日本では最大級の縄文集落跡)をはじめ、翡翠,琥珀に加えて黒曜石がまとまって発見されています。縄文時代のみならず旧石器時代でも、石器の素材として珍重されていたことから、古代から深い関わりがあるとされています。また、黒曜石は、オブシディアンとも呼ばれていて、天然のガラスの一種。物によっては、色は褐色や灰色のものもあります。

5 まとめ


瞑想の先行研究からも、瞑想をすることで、創造性との関連性が明らかになっています。

また、d.Mで使用する鎮魂石は、ゼロの概念と黒色における意味から、創造の起点を象徴しています。

そして、実像と脳内で結ばれ知覚される像(虚像)との関係がメビウスのように循環していると仮定されるのと同様に、ゼロの概念を象徴する鎮魂石の情報と脳内の情報が同調し、創造性が高まることが期待できます。

以上の視点から、本レポートでは、d.Mを実践することで、創造性が高まるメカニズムを中心に解説しました。

d.M Weekly Lab Report 006

d.Mにおける視野と作用メカニズム 2

Reporting Member

渡邊真輝子 七沢智樹

概要

七沢研究所が開発した、デジタル・メディテーション(d.M)は、日本古来の瞑想を最新のデジタルテクノロジーによって進化させた瞑想法です。本レポートでは、第三回レポートに続き、デジタル・メディテーションの視覚メカニズムや作用について考察していきます。

1 はじめに


第三回目のレポートでは、d.Mにおける視覚とメカニズムとして、フォーカスドアテンション(※1)とオープンモニター(※2)が同時に成立していることを主に解説しました。d.Mは意識の偏りを解消することを目的としていますが、物理的・心理的な原因による認知の偏りがあることを今回は紹介するとともに、d.Mがこれらの偏りに対してどのような作用をもたらすのかをご説明します。


(※1) 一つの対象物に集中する方法
(※2) 何事にも固定されずに注意を払う方法


2 物理的盲点と心理的盲点


2.1 ブラインド・スポット(盲点)

【図1】

【図1】において、一方の目を閉じ、片目だけで+印を見た時に、そのまま図に向かって顔を近づけます。図と目の距離が、ある一定の値に達したとき、見ている目と同じ側の黒点が見えなくなります。さらに、目の焦点を、見えているもう一方の黒点に移すと、今度は+印が見えなくなります。



これは、脊椎動物の目は構造上、両眼の網膜に盲点があるためです。この盲点は、暗点(ギリシャ語で「暗闇」)と呼ばれ、この領域には光を受容する細胞がなく、ここに到達した光は人間の脳の視覚野に届かない(※3)と言われています。黒点の情報がちょうど盲点に来たとき、その情報が視覚野に届かないため、黒点が消えたように知覚されるのです。

また、黒点が見えなくなった時、その場所は穴が空いているようには見えず、欠けた箇所のない完全な格子として見えていたと思われます。これは、本来盲点で見えない箇所を、脳が合理的に意味のある形に埋め合わせをしていると捉えることが出来、人は外界を正しく捉えていないことの一つの証左になります。

(※3) M.Rバナージ、A.Gグリーンワルド「心のブラインド・スポット」

2.2 錯視

【図2 ヘルマン格子】



【図2】は、ヘルマン格子と呼ばれる図です。この図形を見ると、その周辺の白い交差部分に、灰色のシミのようなぼんやりとした点が見えます。今度は、このシミの点を注意深く見ると、シミは見えなくなります(※4)。これは、錯視(※5)により、外界の情報は同じに関わらず、その情報が脳の視覚野(※6)で処理されて認識に至る過程において、錯誤が起こるためです。

視覚の場合、脳が見るたびに使っている情報のうち、目から取り入れた情報は10%で、残り90%は、脳の別の場所から入ってきた情報で構成されていると言われています。視界から入った情報は脳に伝達され、認識するというプロセスの間に情報選択(※7)が行われます。

つまり、錯視や盲点からも明らかなように、外界の実物と脳内の像とは異なっていて、脳内で作り上げたイメージを見ていることがわかります。また、実体が見えていない場合でも、外界からの膨大な情報を、脳内(※8)で処理して「見える」ようになっているとも言えます。このように、神経科学の視点からも、「私たちは現実を見ていない」ことが明らかになっています(※9)。


(※4) これをハーマングリッド効果、または、ハーマングリッド現象と言います
(※5) 視覚に関する錯覚のこと
(※6) 大脳皮質における視覚に関する領域で、奥行きを知覚する場所
(※7) 脳には、RAS(reticular activating system:ラス)(「網様体賦活系(もうようたいふかつけい)」)と呼ばれ、視界に入ってきたものを優先順位で振り分けるフィルターの役割があります。 (※8) 脳では、過去に役立った経験(生存や成功に繋がった経験)を元に情報を自動的に振り分けています。 (※9) ボー・ロット「脳はものの見方で進化する」

2.3 スコトーマ(心理的盲点)

視覚など五感を通じて脳に情報が届く際に、RASの機能によって、認識に上がらない現象があります。これをスコトーマ(心理的盲点・認知的盲点)と言います。

人は誰もが、思い込み、心のクセ、そして、脳のクセというものを持っています。そして、脳は、無意識にその思い込みを裏付けるような証拠を探すようになります(※10)。その結果、その思い込みはさらに強化されます。確証バイアスは、記憶にも影響を与え、自分自身に対する思い込みを裏付ける出来事が記憶に残るようになります。現実そのものを見ているのではなく、自分にとって馴染みのある現実を知覚していて、自分に合う情報を探していると言えます。

また、脳は、固定化された思考パターンや、過去に役立った経験、生存・成功に繋がった経験、役に立たなかった経験を記憶しています(※11)。その思考パターンや過去の経験を元に意味付けや解釈が行われるため、現実をそのまま知覚するのではなく、役に立つ形で知覚しています。

つまり、脳で見られる範囲も限定的であり、人は物理的にも、意識的にも、非常に限られた範囲で現実を見ていることがわかります。


(※10) 確証バイアス:自分の願望や信念を裏付ける情報を重視・選択し、これに反証する情報を軽視・排除する心的傾向。
(※11) ボー・ロット「脳はものの見方で進化する」

3 d.Mにおける作用メカニズム


物理的、心理的視点から、現実と脳の映像の違いについて述べましたが、人は実際に見ているものが、ありのままの現実ではないと自覚することが大切です。なぜなら、実際に、盲点、錯視、スコトーマ、確証バイアスを通じて発生する自分の思考パターンや思い込みを客観視することは、自分の意識の偏りに気付くことに繋がります。日常生活においては漫然と物を見ているだけですが、d.Mでは、鎮魂石を置くことで、自分(主体)と鎮魂石(客体)、また、鎮魂石と鎮魂石を見ている自分(主体と客体の統合)を意識する視点が生まれます。こういった階層性の視点を持つことで、自分を客観視できるようになります。また、第三回レポートでお伝えしたように、d.Mによって意識の脱中心化が進むため、刺激に対して関連付けていた感情や情報を切り離して俯瞰することにも繋がります。

2005年にサラ・レーザーらが発表した論文

『Meditation experience is associated with increased cortical thickness』によると、

20人の瞑想の達人の脳をMRIで撮影した際に、前頭前野の背内側前頭前野(DMPFC)と島(※12)の2カ所の組織が厚くなっていたことが明らかになりました。背内側前頭前野(※13)は客観性を生み出す部位と言われています。島は身体感覚を最後に統合する部位で、体の情報は脳の各部位で処理された後、その情報が島で統合されます。島は扁桃体につながり、扁桃体は情動や感情を司っています。

また、東大医学部准教授の熊野宏昭先生(当時)の実験によると、パニック障害などの患者は脳の、島と、背内側前頭前野が委縮していることが明らかになりました。

そのほか、カーネギーメロン大学のデイビット・クレスウェル准教授が、「マインドフルネスの正体とは何か」を説明する理論として、経験者の実感を、脳科学的にうまく説明した仮説であると評価されています。その実験の中で、マインドフルネスを行った人は、背内側前頭前野(DMPFC)とデフォルトモードネットワークとが同期していて、活発に働いている様子が見られました。つまり、意識の中枢である背内側前頭前野(DMPFC)と同期しているということは、デフォルトモードネットワークや、マインド・ワンダリング(※14)の状態が、背内側前頭前野(DMPFC)にきちんとコントロールされている証拠だと考えられます。一方、マインドフルネスを行わなかった人には、背内側前頭前野(DMPFC)とデフォルトモードネットワークの同期は見られませんでした。

以上のことから、瞑想やマインドフルネスの研究より、背内側前頭前野(dlPFC)や島など、脳に変化が見られることが明らかになりました。このような脳の変化は、マインドフルネスや瞑想に、自己の客観視を進め、情動・感情の働きを整える作用があることを意味し、d.Mにおいても、同じ作用が期待されます。


(※12) 第三の目と呼ばれる、額の中央の裏あたりで、島の活動は、味覚、嗅覚、触覚、痛覚などに加え、報酬、社会的な痛み、情動、社会的情動、共感、内臓覚、内受容や自己意識にまで関係しているという仮説があります。臨床的には、種々の精神神経疾患との関連が示唆されています 。
(※13) dorsolateral prefrontal cortex:dMPFC(背内側前頭前野)
(※14)「今この瞬間」に起こっていることに注意を向けないで、目の前の課題とは全く関係のないことを考えて、さまよう状態のことを言います。

4 まとめ


本レポートでは、実際の視覚のメカニズムについて、実際の映像と、脳内で作り出される映像の違いを物理的盲点と心理的盲点を中心に解説しました。脳の網様体賦活系(RAS:reticular activating system:ラス)によって、視界から入ってきた情報が優先順位で振り分けられる際に、心理的、認知的盲点が生じてしまうことがあります。また、普段気がつかない間に知覚や認知のズレから、思い込み、囚われなど、思考の偏りが形成されます。

d.Mを行うことで、主体と客体、そして、それを統合する視点が生まれ、俯瞰する視野が持てるようになります。そして、瞑想やマインドフルネスでの研究と同じように、背内側前頭前野(DMPFC)や島の変化から客観視が深まり、感情調整、デフォルトモードネットワークの変容が見られると言えます。

d.M Weekly Lab Report 005

d.M Lab Meeting Report

システムコーチングとd.Mの親和性

Reporting Member

渡邊真輝子 深沢孝之 大島英明 七沢智樹

概要

デジタル・メディテーション(d.M)とは、日本古来の瞑想法と最新のデジタル・テクノロジーを融合させ、開発された瞑想法です。本レポートでは、前回に引き続き、6月24日に開催されたd.M Lab Meetingで行われたシステムコーチングとd.Mにおける親和性について考察していきます。

1 はじめに


6月24日にd.M Lab Meetingが開催されました。d.M Lab Meetingでは、d.Mのさらなる普及を目指し、臨床・カウンセリング・コーチングへの応用基盤の研究開発を目的としています。前回は、システムコーチングにおける心理効果を主に考察しました。今回は、d.Mとのコラボレーションによる融合性を中心に述べていきます。


2 背景


本来、ビジネスや臨床におけるコーチングはコーチとクライエントによる一対一の指導が基本であり、そこで焦点を当てられるのはクライエント個人の問題ですが、システムコーチングとは、クライエントである2人以上の人間の間に成立する関係性すべてを想定し、組織のダイナミクスを生かし、その「関係性の質」を高めることが目的とされています。

今回、d.M の新たな可能性を広げるためにシステムコーチングという手法を用いましたが、これはd.Mとシステムコーチングが共に「場の関係性を最適化する」働きを持つためです。

そこで、d.M Lab Meeting 参加者のシステム=関係性の質を高めていく上で、d.M の核であり、共通のビジョンである「イソノミヤ(※1)」をテーマに、個々の参加者の中にある「イソノミヤ」の概念の可視化を試みました。

(※1) 事業ビジョンとして、「すべての生きとし生けるものがその生命意志を阻害されることなく、命を全うできる社会 — isonomiya」 を実現することを掲げています。なお、ギリシャとわが国の神話が酷似していることからも、自由と平等を同時に実現していたと言われる古代ギリシャの社会システム isonomia が、神道の中心的存在である伊勢神宮の古称「イソノミヤ(isonomiya)」(磯宮、五十宮)と何らかの関係があると推察されます。

3 ワークショップにおけるダイアローグ


テーマ:イソノミヤ

【あなたにとって、「イソノミヤ」とは何でしょう?】

セッション1:身体を使った非言語ワーク

部屋の中心に「イソノミヤ」の紙を置いて、三つの質問に対して、立ち位置で表します(※2)。その際、自分の位置や中心の紙(「イソノミヤ」)に向かう姿勢を、立つ角度や座る角度などのスタンスによって表していきます。その度合いを中心の紙と自分の物理的な距離で表します。参加者の動きが定まってきたら、「なぜ、そこの位置なのですか?」また、「今、どんな気分ですか?」(感情)と、各質問の度に、参加者へ質問が投げかけられます(※3)。

【三つの質問】

①あなたは「イソノミヤ」にどのくらい興味がありますか?

②あなたは「イソノミヤ」に向けてどのくらい行動できていますか?

③あなたと「イソノミヤ」の位置は?どのくらいの距離がありますか?

d.M (20分):「イソノミヤ」のイメージを漂わせながら開始します。

休憩(10分)

セッション2:「イソノミヤ」を絵で表現する非言語ワーク。(右脳を使ったワーク(※4))

ストーリー:「イソノミヤとはあなたの心の中に生きづいている大いなる世界です。あなたの想像力を使って、イソノミヤがまるで呼吸している、生きた存在のように、想像してください。独自の命をもち、生き生きとした表情をもち、変化や成長している有機体だと想像をしてみてください。そして、あなたの存在も、この一部だと感じてください。あなた自身は今、この生命体の中で、あなたならではの独自の体験をしています。心の中で、イソノミヤという生きた存在と、あなた自身を繋げて見てください(※5)」

もし、「イソノミヤ」が存在しているとしたら、

①「どんな生き物でしょうか?」

「どのように生き、動いているでしょうか?」

「何を感じているでしょうか?」

②「この生き物(「イソノミヤ」)は今、どんな状態にあるでしょうか?」

「何に苦労しているでしょうか?」

③「この生き物が、今必要としているのは、何でしょうか?」

「イソノミヤ」の生き物を絵で表現してください。絵に正解はありません。「イソノミヤ」として、存在をあなたの外へ出してみてください。

描いた絵についてシェア(※6)(数名)

d.M (20分)

休憩(20分)

セッション3:決意の言語化

「本日のワークを通じて、「イソノミヤ」実現に向けて、今日決めたこと、どう動いていくか」を一人一人が発表します。

(※2) 室内を範囲とし、部屋の外には出ないこと
(※3) 安心安全の場であること。人と比較しないこと、自分が一番心地よいところを選ぶよう、伝えられます。 (※4) 心を空っぽにして、身体をリラックスして、深呼吸するように伝えます。ストーリーを聞いているときは、目を瞑るよう伝えます。
(※5) 各質問の度に、気が付いたことについて各自でメモを取るよう伝えます。
(※6) 参加者の絵を壁に貼ったり、中心に置いて、参加者で絵を鑑賞します。

4 システムコーチングとd.Mの親和性


4.1 コミュニケーションプラットフォーム

共通の目的があり、そこに向かって協力し、行動することで、はじめて集合体がチームになります。人が集まると、そこに「場=コミュニケーションプラットフォーム(※7)」が作られます。システムコーチングでは、チームをひとつの有機体、ひとつの生き物として捉えています。問題が生じている原因はシステム(関係性)の中にあると考え、人と人との関係性にアプローチしていきます(※8)。

通常、コーチングの場面において、言葉による決意表明だけでは実際の行動に結びつかないことがあります。そこで、ワークを通した行動、体験によって感情が動かすことがシステムコーチングにおいて、ポイントになります。非言語でのワークを行うと、表層的な意識の変化が生じるだけでなく、体験によって感情が動くため、行動に移しやすくなります。

チームにおける「結果の質」を上げるためには、「行動の質」を上げることが大切になりますが、その前に、「思考の質」、さらにそれ以前に、「関係性の質」を上げていくことがとても重要になります(※9)。

関係性の質を上げていく上で、他者とのコミュニケーションをいかに円滑に行うかが鍵となりますが、その土台として研究所が提唱しているのがコミュニケーションプラットフォームの構築です。情報が円滑に共有され、最適な形で目的が実行される「情報伝達の場」として研究所が定義している情緒プロセッサー(※10)において、情緒が、他者とのコミュニケーションを司る本質の概念として、コミュニケーションプラットフォーム上で共有されます。そして、情緒が整うと、コミュニケーションのあり方も最適なものになります。d.Mは情緒を整え、他者とのコミュニケーションを円滑なものにする前提となる最適な場を構築するための技法です。

d.Mを行うことで「心がスッキリする」「心おだやかな気持ちになる」という体験者の声からも、d.Mによって情緒が安定することは明らかです。

情緒が不安定な場合、不安感がぬぐえなかったり、落ち着かない気分になったり、喜怒哀楽などの感情が爆発してしまうこともあります。一方で、情緒が安定していると、感情のコントロールが可能になることから、情緒とは、情動、感情、気分を包括する概念として捉えることができます。

情緒は主に幼少期に自然との関わりを通じて育まれ、人間が世界を認知するすべてのプラットフォームを形成していることから、自分自身の意識や心の動きが還るところともいえます。また、大地や、地球という意味合いにもつながっています。

情緒プラットフォームは、心の動きを網羅した情報場であり、対人関係において明確なコミュニケーションが構築される以前に、すでに人と人とを繋げています。

臨床心理学の分野で、共感・信頼関係(ラポール)の形成と言われることと、情緒プラットフォームが整い、コミュニケーションプラットフォームが安定した状態は同じことを指していると考えられます。また、共同体感覚(※11)(他者に対する貢献・世界に対する一体感)にも該当します。カウンセリングにおいて、カウンセラーがクライエントと共感・信頼できている関係性が第一条件であるように、対人関係の場合も、共感(ラポール)を築くことが大切になります。

d.Mを行うことで、一人一人の情緒プラットフォームが安定することで、心の動きだけでなく身体の神経回路も最適になります(※12)。同時に、参加者が鎮魂石を中心として、輪になって行うことで、コミュニケーションプラットフォームが迅速に形成されます。その結果、コミュニケーションの質が向上していきます。

(※7) 情報が円滑に共有され、最適な形で目的が実行される「情報伝達の場」。
(※8) システムズアプローチ:何か問題が起こった時に、その人、個人の問題として見るのではなく、その人を取り巻く環境や相互作用も含めて見ていく心理療法のひとつで、家族療法でも使われています。
(※9) ダニエル・キムによって提唱されている「成功の循環モデル」
(※10) d.M Labo Weekly Report 001にて言及
(※11) アドラー心理学におけるキーコンセプト。
(※12) マインドフルネスの研究においても、情動調整が安定し、内受容性の気づきを高め、身体感覚が鋭敏化することが明らかになっています。

4.2 非言語ワークの効果と意味

一般的に、会議や話し合いの場において、声が大きい人や、権威を持っている人が、その場を支配してしまう傾向にあります。また、声を発さないと、考えや思いが相手に届かない場合が多く、思い込みや誤解の積み重ねのために円滑なコミュニケーションが妨げられます。よって、チームの関係性を最適化する場において、言葉を使わずに自分の考えを表明することで、チームの構成員全員にとって、安全で公正な場にすることが可能となります。

また、日本では古来から「阿吽の呼吸」や「以心伝心」によるコミュニケーションが行われているように、言葉を交わさなくても、情緒を通じて意思疎通を図ることができます。

非言語コミュニケーションの点からも、まだ顕在されていない心にある概念を、システムコーチングによる非言語ワークによって、見える化・意識化・行動化し、その結果、情緒プラットフォームと共に、コミュニケーションプラットフォームが最適に整えられます。

以上のことから、d.Mとシステムコーチングには、その作用と目的において親和性があり、相乗効果が期待されます。

4.3 ワークショップ参加者の体験談

システムコーチングとd.Mとのコラボレーションによる相乗効果や、コミュニケーションプラットフォームの形成により、場の一体感が強まったことについて、参加者から以下のような体験談が寄せられました。

▶ 非言語ワークとd.Mの組み合わせの相乗効果で、d.Mの場に漂う空気、感覚がよかったです。おそらくこれが、「情緒」というものかと思いました。感情や気分とはやや違う感覚でした。

▶ 他の人達と一緒にd.Mをすることで、そのつながりと、心の広がりが心地よく感じられ、より深まったメディテーションとなったと思います。

▶ イソノミヤ実現に向けて、同じ志を持った方との一体感を心強く感じました。

▶ 個々それぞれにイソノミヤという形が内にできあがりつつあるんだなという事と、それらを共有する事で、また新しく進んで行く、進化して行くんだなと実感しました。

▶ イソノミヤをイメージした絵を描いて、全員で共有した事で、そんなものでもありだという、全員が認められるようなやわらかい空気感がありました。イソノミヤ世界の縮図のようなものを感じました。

▶ ワークの合間のd.Mがとてもよかった。色々個人的な悩みなどでぐずぐずしている自分を感じ、この場で同じく、イソノミヤの実現を目指す仲間の鼓動を感じ、円になって、流れを感じ、自分の悩みが小さく、自分自身でそれも包みこんであげられるようになりました。そして、もっと大きな視点でイソノミヤの実現に向けてできることをする自分であろうと思いました。

▶ 皆様との一体感は非常に心地良かったです。異次元の世界から場を観ていました。

▶ 普段の鎮魂(d.M)とは、またひと味違う場の一体感を強く感じました。

▶ 一つのもの(イソノミヤ)を多方面から見ることで、それが有機的なものとして捉えられる感じがした。

d.M Weekly Lab Report 004

d.M Lab Meeting Report

-システムコーチングの心理作用-

Reporting Member

成田泰士 渡邊真輝子 七沢智樹


概要

デジタル・メディテーション(d.M)とは、日本古来の瞑想法と最新のデジタル・テクノロジーを融合し、七沢研究所によって開発された瞑想法です。

本レポートでは、6月24日に開催されたd.M Labo Meetingより、当日の振り返りと、システムコーチングの心理作用を主に考察していきます。

1 はじめに


6月24日にd.M Lab Meetingが開催されました。d.M Lab Meetingでは、d.Mの更なる普及を目指し、臨床・カウンセリンング、コーチングへの応用を目的としています。今回は、システムコーチングにおける臨床メカニズムを中心に述べていきます。


2 システムコーチング(※1)の心理作用


2.1 振り返り

今回のd.M Lab Meetingにおいて、セッション1では、「イソノミヤ」という概念に対する3つの非言語ワークが行われました。

ワーク1:「イソノミヤ」という言葉を書いた紙を中央におきます。「イソノミヤ」にどのくらい興味があるかを、自分の立ち位置で表します。その際、自分がどこに立つ(座る)ことがしっくり来るか、その度合いを物理的な距離で表します。

ワーク2:「イソノミヤ」実現に向けて、自分がどれだけ行動できているのか、現在の関わり方をワーク1と同じように、体の位置・姿勢で表現します。

ワーク3:「イソノミヤ」に対する自分の理想の関わり方を同様に、体の位置・姿勢で表します。

それを踏まえて、各自が「イソノミヤ」に対して描いたイメージを漂わせながらd.Mを20分行いました。

セッション2では、「イソノミヤ」を生命体として捉え、そのイメージを絵に描きました。その際、「イソノミヤ」という生命体は「どんな状態」で、「何に苦労している」のか、「今必要としているものは何か」を合わせてイメージしながら描きました。その後、円状に各自の絵を並べ、ひと通り見終えてから、数名の方が自分の絵をどういう意図で描いたかを説明し、再度20分のd.Mを行いました。

最後のセッション3では、「イソノミヤ」実現に向けて各自の決意を宣言しました。


(※1) コーチングは一対一が基本となっていますが、システムコーチングとは、2人以上の人間によって成立する関係性すべてを想定し、組織のダイナミクスを生かした、関係性のシステムワーク

2.2 システムコーチングの目的とその効果

一般的に、コーチングは「促進的アプローチ、指導的アプローチで、クライアントの気づきを促し、自発的な行動を支援すること」を大きな目的としています。大抵の場合、その回の最後に今後(継続的に行われるものであれば次回までに)どのような行動を取るのかを明確にすることが一つのゴールになります。その前提の下、各セッションがどのような意図で組まれ、どのような効果を及ぼしていたのかを考察していきます。


今回のセッションで行われたことの大きな意義としては、①無意識(潜在意識)下にある対象への本音・本心を意識の上に浮上させ、②それを言語化により定着させるとともに、③その本音に基づいた行動を促す、というものでした。

2.3 セッション1:身体を使った非言語ワーク

最初に、セッション1は言葉を使わず身体で自分の内面を表現する、というものでした。認知行動科学(認知行動療法)では、「認知」「感情」「行動」「生理」が互いに密接に関係しあっており、どれかひとつでも要素が変化すると他の要素にも変化が生じるとされています。今回のワークではこの仕組みを機能させることを目的としていました。

受講生は中央に「イソノミヤ」と書かれた紙に対して“うろうろ動き回り”、自分が“しっくり”来る場所でしっくりするポーズを取るよう求められました。これは「行動」の変化(動き回る)に加えて、「生理(感覚)」の変化を誘導するものでした。

更に、場所が決まった後、講師から「今どのような“気分”か」と「感情」の変化にも意識が向けられるよう問いかけが行なわれていました。このような状況下では、必然的に「認知(思考)」の変化も生じやすくなると考えられます。

また、「イソノミヤ」に対する「理想」と、「現実」をそれぞれ中心に置かれた棒と身体との距離や位置で示しました。先述のとおり、「感情」「行動」「生理」を巧みに刺激しつつ、ここでは理想に対する自分の現実という問題提起が、各自の内に非言語のまま落とし込まれる仕組みになっていました。言語化されたものは、意識のフィルタを通るため、通常自分に変化を求める要素は何かしらの理由をつけて除外されがちですが、非言語の形を取っていたため、無意識に入りやすかったと思われます。

加えて、ここでは一貫性の法則による方向付けも利用されていました。先に理想の形を自分なりに示したことにより、現実とのギャップに対して整合性がとれるよう、そのギャップを埋めるための思考が自動的に生じるようになっていました。

このほか、セッション中、参加者が自分の適切な位置を探し歩いている最中に「良い悪いはない」、「他人と比較しない」、「ここは安全な場」というような言葉が講師から投げかけられていました。ここにもヒトの脳の構造を上手く利用した仕掛けがありました。

仕事などで同時並行的に様々なことをこなせる人や「ながら作業」が出来る人がいますが、厳密にはヒトの脳は意識上、同時に2つ以上の情報処理ができないということが証明されています(※2)。

ではオーバーフローした情報はどうなるかというと、意識を素通りして無意識に投げ込まれると考えられています。我々が動き回って自分の場所を探すという作業をしている間、投げかけられた言葉は我々の意識を素通りして無意識に入り込みやすかったと考えられます。その結果、上述のような言葉がすっと入り、より自分の心に自然と向き合え、自己開示がしやすくなる土壌が形成されていました。


(※2) Stanford University " Maxi-Multitaskers' Performance Impaired"より、いくつも同時にやっているように見えるのは切り替えが早いか効率を落としている可能性が高いと、マルチタスクの弊害について研究されています。

2.4 セッション2:絵で内面を表現する非言語ワーク

セッション2の描画は、バウムテストに代表される絵画療法の手法で、言語化されていない内面の表現が行われました。ここでは「イソノミヤ」を「生命体として捉える」「どんな状態で何に苦労している」「今必要としているもの」という絶妙な指示がありました。

生命体として捉えるのは、対象となっている課題と自己の親和性と高める意味合いがあったと考えられます。また、セッション1で得た体感覚との結びつきも意図されていたかもしれません。また、「苦労している点」「必要としている点」をイメージすることで、セッション1で無意識下に問題として


投げ込まれた「イソノミヤ」に対する理想と現実のギャップについての問題解決を探るよう方向付けられていたと考えられます。絵という非言語を使用することで、同じく無意識(非言語)にある問題の解決方法を上手くリンクするようになっていました。

また、その後、各人の絵を床に並べ、お互いに鑑賞する時間を設けました。一切の評価をしないことで安心できる場の形成を強め、次に行う自己開示(決意表明)のハードルを引き下げる効果があったと思われます。


2.5 セッション3:決意の言語化

セッション3では、「イソノミヤ」実現に向けて「決めたこと」というテーマで一人ずつ発表が行われました。セッション1で無意識(非言語)に提起された問題を、セッション2で意識(非言語)まで上昇させ、セッション3で意識(言語)に持っていくという流れによって、自然に内的動機付けとなっていました。


2.6 d.Mとシステムコーチングとの相互作用

各セッションと交互になる形でd.Mが行われました。

元々d.Mには顕在意識を抑え、相対的に無意識を活性化させる働きがあるため、各セッションで感じたことを速やかに受容、定着させる効果があったと思われます。

また、共通のテーマを持ち、そのことを頭に漂わせながらd.Mをすることで、参加者の意識(波動)が揃う(コヒーレント)状態を形成しやすく、通常よりも速やかに深い鎮魂状態に入れる効果も生んでいたと思われます。

システムコーチング側から見てもd.M側からみても効果を増加させる形になっていて、非常に親和性の高い組み合わせとなっていました。


【システムコーチングワークと鎮魂の相互作用イメージ】

2.7 今後の可能性

共通テーマが持ちにくい場、あるいは持つことを求めない場など、従来のやり方が適している場面も多々想定されます。

しかし、従来の鎮魂だけのスタイルにはなかった、「行動の変化」に繋がるという意味において、システムコーチングと融合させたd.Mを企業研修などの場に展開させることもできます。今回のセッションによって、デジタルメディテーションの新たな可能性が開かれたと言えます。


d.M Weekly Lab Report 003

d.Mにおける視野と作用メカニズム 1

Reporting Member

渡邊真輝子 深沢孝之 大島英明 七沢智樹

概要

七沢研究所が開発した、デジタル・メディテーション(d.M)は、日本古来の瞑想を最新のデジタルテクノロジーによって、進化させた瞑想法です。d.Mは、誰もが自然に、空間全体と同時に一点を捉える意識になる方法をとることで、メディテーション効果を高めています。それは、集中と分散を同時に成立させた状態といえるのです。本レポートでは、デジタル・メディテーションにおける視野と作用に関するメカニズムについて考察していきます。

1. はじめに

前レポートでは、臨床マインドフルネスの基本的な心理効果と、瞑想中の開眼/閉眼の違いに関するd.M(デジタル・メディテーション)と臨床マインドフルネスの比較について説明しました。

今回は、d.Mにおける視覚メカニズムとして、フォーカスト・アテンション(※1)とオープンモニター(※2)が「同時に成立している」メカニズムを主に解説していきます。


(※1) 特定のことがら(呼吸、イメージ、色など)に注意を集中する方法
(※2) 認知したことがらをそのまま認識する方法


2. 視野のメカニズム


2.1. 中心視野と周辺視野の機能

「視野」とは、目を動かさないままで見える範囲であり、視覚情報を取得できる範囲を指します。人間を含め、動物は視覚を通じて外界から情報を得ています。特に、動物は、危険を感知したり、動くもの(獲物)を認知することで視野をし、発達させてしてきました。

視野は中心視野と周辺視野(※3)の2つに分類されます。

例えば、車を運転しているとき、人は「中心視野」で見ています。一般的に、物が一番よく見えるのは、この中心視野に入っている場合です。一方で、前を見ている時も、顔の横の方で何か動きがある場合、その動きを感知することが出来ます。これが「周辺視野」です。

中心視野により、物の形や色をはっきりと見極めることができます。一方、顔の横で手を動かした場合、周辺視野により、何かが動いていることはわかっても、指の数や手の姿勢までははっきりとわかりません。これは、中心視野(中心視)とは、網膜上で最も空間解像度が優れている中心窩およびその近辺領域で見る(※4)のに対して、周辺視野(周辺視)では、中心視以外の領域で見ることで、空間的解像度(形の知覚)や色覚の点で中心視野に劣る(※5)ためです。

近年では、1点に集中して「見る」のではなく、全体をとらえて広い範囲を「見る」ことが重要であるとされ、有効視野(※6)を鍛えるトレーニング方法が視力向上、速読、能力開発、スポーツなどに応用されています。

(※3) 目を動かさないで一点を見る固視点を中心として、約30度以内の視野を「中心視野」それよりも外側を「周辺視野」と言います。
(※4) 認知科学辞典 p558。直接視とも言われています。
(※5) 認知科学辞典 p383
(※6) ヒトが眼を使い、生理的視野中心付近に固視点(注視点)を設けている際に外界から有効に情報を得られる範囲」のことで「周辺視野」の別称と言われています。

2.2. d.Mにおける視野

ここから、フォーカスト・アテンション、オープンモニター、そして、d.M時における視野について、図を参照して分析していきます。

【図1】は中心視野と周辺視野の視野範囲を表したものです。

【図1】中心視野と周辺視野

【図2】は、フォーカスト・アテンションでの視野を表したものです。フォーカスト・アテンションでは、何か一つの対象物に注意を集中するため、図のように一点に集中した状態です。




【図2】フォーカスト・アテンションでの視野

【図3】は、オープンモニターでの視野を表したものです。オープンモニターは、何事にも固定されずに 注意を払う方法で、視野は固定しない、分散した状態です。

【図3】オープンモニターでの視野

【図4】はd.Mでの視野を表したものです。全体を捉えながら、同時に鎮魂石(黒点)の一点を見ている状態です。



【図4】d.Mでの視野

一般的に、眼は注視している物体の動きを自動的に追従するため、対象物を見る時に、人の眼球はたえず動き続いています(※7)。d.Mでは、鎮魂石を見ることで、その眼球の動きを一旦「止める」ことになります。

その結果、眼球の動きは、中心視野にある黒点(鎮魂石)のみならず、周りの空間に対しても止まった状態となります。さらに、d.Mでは、「黒曜石のみに集中する」という意識付けを敢えて行わないことで、視野全体をオープンな状態に保ち、視野から入る情報を意図的に選択しなくなります。

(※7) 追跡眼球運動(eye tracking movement)といい、「衝動性眼球運動 saccade eye movement」と「滑動性追跡眼球運動(smooth pursuit eye movement)」の2種類の動きがあります。

2.3. d.Mの視野と作用メカニズム

したがって、d.Mを行う際には、鎮魂石(黒点)のみに集中するのではなく、周辺視野にも万遍なく意識を分散させている状態になります。それは、空間全体と同時に一点を捉える意識といえます。

この意識状態は、フォーカスト・アテンションにおける特定のことがら(呼吸、イメージ、色など)に注意を集中している状態と、オープンモニターにおける認知したことがらをそのまま認識している状態の両方(集中と分散)が同時に成立します。その結果、d.Mを行うことで有効視野の拡大にも繋がっていきます。

3. d.M体験者からの報告


マインドフルネスをしていると視界がくっきりする、視野が広がるといった体験談がありますが、d.Mにおいても同様の事が言えます。

以下が、d.M体験者の感想です。

▶(d.Mを)繰り返すごとに、鎮魂石がくっきりと見えました。

▶ とてもクリアになり見える景色が明るく感じた。とにかくスッキリしました。

▶ 会場全体が明るくなるのを感じた。キリが晴れていく感じ。鎮魂石のまわりは何もないように見えた。

▶ 終わった後は視界がすごくクリアになっていました。

中心視野と周辺視野とで同時に見ていくことで、有効視野が広がるd.Mは、視覚機能の最適化だけでなく、能力開発という側面も持っています。視界が鮮明になることに加えて、心や頭もクリアになるという体験談も寄せられています。

▶ 頭がクリアになりました。

▶ デジタルサポートもあり、心の隅々までクリアになった気分です。

▶ 意識が明瞭になる。

d.Mの実践は、脳や、心身、思考にも影響し、そこからパフォーマンス向上にも繋がります。


d.M Weekly Lab Report 002

d.Mとマインドフルネスの心理的メカニズムの比較1

開眼/閉眼

Reporting Member

渡邊真輝子 深沢孝之 大島英明 七沢智樹

概要

七沢研究所が開発した、デジタル・メディテーション(d.M)は、日本古来の瞑想法を最新のデジタルテクノロジーによって、進化させたものです。本レポートでは、今後、マインドフルネスの研究を参考に、心理的メカニズムを主体に、デジタル・メディテーションのメカニズムについて論じていきます。今回は、瞑想時の「意識の向け方」について、開眼で行う場合と、閉眼で行う場合を比較します。

1. はじめに

前レポートではマインドフルネスとd.Mにおけるルーツの違いを中心に、本研究所が提唱する、マインドプロセッサーという体系的な概念と、情緒プラットフォームを整える技法であるd.Mについて概説しました。

本レポートでは、仏教の瞑想法に由来しつつ、脱仏教化され臨床に応用されている臨床マインドフルネスにおける基本的な心理的効果を解説し、従来の瞑想と d.M の特徴について、瞑想時の開眼/閉眼という観点から考察していきます。

2. マインドフルネスの基本メカニズム

近年、海外、特にアメリカにおいて、マインドフルネスのメカニズムに関する研究が進んでいます。ここに、いくつかのキーワードの紹介を通してそのメカニズムを見ていきます。

脱中心化

脱中心化とは、自己と体験とを同一化させない、いわば「一歩引いた」関わり方のことで、自己を恒常的な存在として捉えず、状況に即して常時変化する存在として体験していく態度です。これは、マインドフルネスの核心とされています(※1)。脱中心化が進むと自分の心の中の反応、雑念やマイナスに囚われなくなります。これが衝動、ネガティブな感情の抑制へと繋がります。こういったことから、アメリカでは、性犯罪者の更生治療としてマインドフルネスが使われています。

感情・情動調整

感情・情動調整とは、感情とそれに伴う身体反応の均衡をはかる機能のことです(※2)。感情と体の反応が緩和され、過去のトラウマなどのフラッシュバックの体験などが軽減されます。

マインドフルネスを実践することで、感情や思考などに対して選り好みせず、一定の心的距離を置いて客観的に眺められるようになり、情動の自然解消に繋がり、感情の修正と安定化が促進されると言われています(※3)。

身体感覚の気づき・身体感覚の感受性が高まる

通常、人は先入観、固定概念、マンネリ化など様々な要因から、外界の刺激や内部から沸き起こってくる感情や思考に対する感知が鈍くなりがちです。マインドフルネスによって、通常では見逃されがちな刺激(物音、風景、体感など)に対する知覚が高まります。そうした感受性の高まりは、単に自己にまつわることだけでなく、他人の示す微かな表情にも拡張するため、他人に対する共感能力の高まりにも繋がります(※4)。

デフォルトモードネットワーク(DMN)の変容

DMNとは、脳が、意図的なタスクに従事していない、いわば「通常時」の認知システム状態のこと(※5)で、d.Mにおいてもキーとなる用語です。瞑想しているときに限らず、外部から入力がない状態でも、頭が動いていたりしますが、こういった、いわゆる脳のアイドリング状態をデフォルトモードネットワークと言います。忙しい人は、デフォルトモードネットワークが雑念が湧きやすい状態だったり、メンタルが弱い場合は、ネガティブなことを考える傾向が強く見られます。瞑想すると、こうしたデフォルトモードネットワークが変化していくのです。

その他、心理的作用として、脱中心化や、情動調整以外にも、自己概念の変化も挙げられます。一般的に、内容としての自己(self-as-content)(※6)と言って、自分はこういう人間だ、とそこに固執してしまう傾向があります。

瞑想することで自分や世界は流動的であること、自分と世界は変わり得ると、プロセスとしての自分に気づき、世界は変わると認識されやすくなります。自己と体験や出来事とを客観的に観察することが出来るようになり、自己概念が変化していきます。

また、ニューロサイエンスの研究からも、マインドフルネス瞑想の実践と大脳部位との深い関わりが明らかになっています。

脱中心化などの、マインドフルネスのメカニズムを表す基本的な用語は、d.Mにも対応した概念が存在しています。そのため、d.Mでの心理的作用を研究するにあたって、マインドフルネス瞑想の臨床研究は参考になります。

マインドフルネスと d.M いずれの場合も、漂ってくるものに満遍なく注意を向けることで、意識の偏りを解消し、囚われなくなるという方法をとります。

(※1) 大谷彰:マインドフルネス入門講義 (※2) 大谷彰:マインドフルネス実践講義
(※3) 大谷彰:マインドフルネス入門講義 (※4) 大谷彰:マインドフルネス入門講義
(※5) 大谷彰:マインドフルネス実践講義
(※6) 心理学者フレッチャーにより、脱中心化された自己を「文脈としての自己(self-as-context)」と区別する。

3. マインドフルネスとd.Mの意識の向け方の比較

3.1. マインドフルネスの起源となる瞑想法と意識の向け方

マインドフルネスは、仏教の瞑想法に由来しています。仏教の瞑想法には、サマタ瞑想(※7)とヴィパッサナー瞑想(※8)があります。この2つは、瞑想時の注意のあり方が異なります。

サマタ瞑想は、フォーカスドアテンションという、ろうそくなど、物を見て集中するタイプの瞑想です。集中して、トランス状態に入る瞑想で、その意味では催眠に近いと言えます。一方、ヴィパッサナー瞑想は、オープンモニターといって、何事にも固定されずに注意を払います。定説として、今日のマインドフルネス瞑想は、主にヴィパッサナー瞑想に基づいて構成されているようです。

しかし、マインドフルネスの実践においては、両者の区別はそれほど厳密ではなく、場合によっては、サマタ瞑想は心を特定のものに結びつけることで、集中力を得て、ヴィパッサナー瞑想で意識を解放し、「今ここ」での体験を囚われない状態で観察し受け入れるため、本来、サマタとヴィパッサナーは連続した一体のものとされています(※9)。

3.2. d.Mを実践する際の意識の向け方


d.Mは鎮魂石を見るため、フォーカスドアテンションに近いと思われがちです。しかし、鎮魂石は見るものの、鎮魂石だけに集中していなければならない、というものではありません。周辺視野で全体を捉えつつ、その空間の中にある鎮魂石を見る、あるいは空間の中に浮いている黒曜石を見る、という意識が大切となります。集中して見ようとしなくても、目を開けていると、自然と鎮魂石は視界に入ります。全体の中で鎮魂石に意識をおく感覚が大切となります。

d.M はフォーカスドアテンション(サマタ)とオープンモニター(ヴィパッサナー)の要素を持ち合わせていて、集中しつつ、分散する、と言った、集中と分散を同時に行う境地と言えます。



(※7) 漢訳では、「止法」。サンスクリット語で落ち着かせるの意。集中瞑想と呼ばれます。
(※8) 漢訳では、「観法」。サンスクリット語で見るの意。観察瞑想と呼ばれます。
(※9) 精神科治療学vol.32 No.5 May 2017

3.3. 開眼と閉眼について

仏教をルーツにしたマインドフルネスは、半眼(開眼)で行う場合と閉眼で行う場合がありますが、d.Mは、必ず、半眼(開眼)で行います。半眼で行う際に、無理して半眼にする必要はありませんが、自然と落ちつくところが、結果として、半眼になります。

目を開けて行うことは、d.Mの基本です。その理由は、d.Mが、「コミュニケーションの最適化」を意図したプログラムだからです。

「目を閉じる」ことは、「視覚から来る外界からの情報を遮断する」ことを意味します。d.Mでは、目を開けて、外界とのコミュニケーションを前提にメディテーションを行います。外界からの情報と内側の情報を、メディテーションを通して、最適にリンクさせることを目的にしているのです。

3.4. d.M体験者からの報告

実際に、d.M体験者から、次のような報告が上がっています。

▶ 鎮魂中、周囲のものが何も見えなくなり、自分一人に集中している感じで空間と一体になった感覚を味わい気持ちよく素晴らしいと思いました。

▶ 体内が充満というか身体の輪郭がないような、外内がないような感覚、頭部分はちょっとかたくなった感覚。

▶ 心地よくついウトウトしてしまったり、雑念が浮かんできて、これでいいのかなぁと思いつつでしたが、終えてみたら子宮の内側からほんのり温かい感じがして、あと雑念が出てきた時は黒い玉を見失っていたことに気づいたり、宇宙の外側からみている感覚、輪になって同じ玉を見ている、全員で一つの宇宙を創造している感覚で不思議な体感でした。

▶ d.M中は中府(丹田)あたりがとても軽くなり自分と宇宙(=現実)をどう見ているのか気づきがあった。

これらの体験は、目を開けて、空間全体へと意識を広げて瞑想することによってもたらされています。黒曜石と空間という視覚情報を得ながら瞑想することで、意識の中でも自分の内側だけを見つめる視点から、自分を含めた全体を俯瞰する視点へと変化が起こります。

d.M体験者から、「目を閉じたいのに、なぜ、目を開けておくのか。」と質問されることがありますが、実際に目をつむると、自分の世界(内)に入ってしまう傾向があります。意識が内と外の「内」に集中してしまうのです。悩む人は、くよくよしたりして、目の前のことに集中してしまう傾向が強く見られます。放っておけば通り過ぎる感情や出来事を、あえて自分の中でぐっと握りしめ、そこに囚われてしまうのです。目を閉じると、中心化しやすくなってしまいます。

一個のデータに注意を向けると、他の情報に目がいかなくなりますが、万遍なく見ていることで、広く情報を取れるようになります。目を閉じないのはそのためです。視覚からの情報を万遍なくとることで、心に生じた感情、思考の囚われが軽減され、脱中心化が進んでいきます。

瞑想における、より具体的な視覚効果については、別途報告させていただく予定です。

d.M Weekly Lab Report 001

d.Mとマインドフルネスのルーツの違い

Reporting Member

渡邊真輝子 深沢孝之 大島英明 七沢智樹


概要

七沢研究所が開発した、デジタル・メディテーション(d.M)は、日本古来の瞑想法を最新のデジタルテクノロジーによって、進化させたものです。このデジタル・メディテーションは、アメリカで広まっているマインドフルネスとよく似ていますが、マインドフルネスは仏教、デジタル・メディテーションは神道をルーツとしているため、その概念に根本的な違いがあります。

本レポートでは、デジタル・メディテーションとマインドフルネスのルーツの違いと、情緒プロセッサーについて説明します。

1. はじめに


日本をはじめとする東洋では、西洋に比べて間接的・非言語的コミュニケーションが発達しています。西洋は言葉で「表す」文化であるのに対し、日本は黙って「察する」文化です。諸外国に比べると、日本人は感情を表さないと言われます。しかし、日本人は感情よりももっと極めの細かい情緒をコミュニケーションのプラットフォームとして、相手のことを理解しているのです。

七沢研究所では、この「情緒」に着目した心の問題解消のプログラム「Mind Processor(マインドプロセッサー)(※1)」という概念を提供しています。情緒が整うことでコミュニケーションのあり方もまた最適なものになります。そのための技術として、研究所ではd.M(デジタルメディテーション)を研究開発しました。

(※1) Mind Processor(マインドプロセッサー)情緒に関する研究を通して、心のメカニズムに関する仮説を提唱していきます。また、株式会社七沢研究所が日々、研究開発している「概念装置」を用いて、心に対して、新たな仮説・アプローチを提供していきます。この仮説もまた、心のメカニズムを理解するための「概念装置」となります。Mind Processorという通り、本研究所が提供する「概念装置」では、心理学的な分析に役立つ仮説を新たに打ち立て、現代の科学がより進化するためのきっかけ・気付きを与えられることを目指しています。

2. d.Mとマインドフルネスのルーツの違い


2.1. マインドフルネスのルーツ

マインドフルネスという瞑想法が世間ではブームになっています。精神科医の専門の論文にも取り上げられたり、臨床の現場においても用いられています。マインドフルネスは80年代から臨床に用いられるようになり、90年代以降、広く使用されるようになりました(※2)。東洋のいわゆるグルと言われる人々が多くアメリカに渡り、日本の禅やヒンズーなどの文化がアメリカの西海岸やニューヨークを中心に広がり、カルチャーのトレンドの一部となりました。瞑想というのは空を掴む・悟るというのが本来の目的ですが、臨床や精神科医が、心の健康に有効なのではないか、治療として使えるのではないかと注目したところがマインドフルネスの始まりとなっています(※3)。

その中でも、ピュア・マインドフルネスはいわゆる昔からの瞑想法を踏襲し、空を掴むことを目的としているのに対して、最近は、ビジネスの場において生産効率をあげるためのビジネスマインドフルネスとして、臨床マインドフルネスが行われています。

これらの瞑想は臨床がべースとなっています。

2.2. d.Mのルーツと課題

d.M(デジタル・メディテーション)は日本古来の鎮魂と祓いという瞑想の作法を基に、メディテーションテクノロジー(MT)を加えたものです。多くの瞑想法が存在していますが、日本人には、日本発のメディテーションが合っているのではないかと考えられます。

白川伯王家神道の継承者であり、七沢研究所代表を務める七沢賢治は、祓いと鎮魂という伝統的な作法を普及させるにあたり、エクササイズとしてこれらを一般に公開することを意図しました。そのため、祓いCDを作り、口伝だった作法をマニュアル化し、より平易にしましたが、行法の在り方やそのときの服装などが伝統的なままの状態であるため、一見すると宗教的な印象を与えかねません。

マインドフルネスも禅を元にしていますが、禅寺で壁に向かって修行をするという伝統的な作法のままでは、広まらないため、簡易化されていったという経緯があります。

マインドフルネスが仏教的なメディテーションをエクササイズ化したものであるように、神道的なエクササイズメディテーションとしてd.Mを確立する必要があります。マインドフルネスが一般的なものとして普及していく中で辿った過程は、今後、d.Mを普及させるにあたり参考になります。

(※2) 大谷 彰「マインドフルネス入門講義」
(※3) 大谷 彰「マインドフルネス入門講義」

2.3. 神道と仏教の瞑想の違い

ヴィパッサナー瞑想のリトリート的なプログラムでは、ヴィパッサナー瞑想を初めは10日間、そして、一日10時間集中して行い、それを維持するため、普段は最低1日1時間実践します。そして、リトリートを繰り返すことで、結果が生まれます。しかし、現代人、特に、日本の現代社会においてその時間を確保するのは難しいのが現状(※4)ですが、d.Mはその効果や、空の境地になるまでの時間が短くなっています。

また、仏教にはそもそも祓いという概念がありません。仏教では、人間は因果十二段階の因縁(十二因縁)の結果塊であるとされます。こうした観点から自己を見つめ、因果因縁の深いところから浮かび上がるものを見ていきます。そして、瞑想をしている中で、今ここの身体に気づき(念)を置く、今ある感受に気づき(念)を置く、今生じている心に気づき(念)を置く、この世界の在り方、法則に気づき(念)を置くというやり方で、存在のプロセス(縁起)を観ることにより痛みや苦しみの中から自己を客観視して、智慧を芽生えさせて苦から抜けていこうとします。(四念処観)

ピュアマインドフルネスは仏教を前提にしているので、四諦(この世は苦苦、集、滅、道)が前提となります。そのため四苦八苦の言葉があるように「苦の原因を観て(集)いく中で消滅に至る道を実践してだから執着しないで芽生えた智慧により離れましょう」というやり方であり思想となり、そもそも最初に心が安定していないと実践が難しくなりがちです。、厭世的になりがちです。

人間は、もともと罪、あるいはカルマを持っているという仏教的な概念は神道においては一切ありません。人が罪を持つというのは同じでも、スタートが全く異なるのです。

仏教は、汚れの世界から逃れる・出るという解脱の世界観があるため、カルママインドが全体を占めていますが、カルマが前提になると、かえってその階層から抜けることが難しくなってしまいます。

一方、神道は人の魂は本来清らかなものであるとし、日々の生活の中や人生において積み重なる鬱滞を祓い清めていくという祓いと鎮魂をベースにしている点で、仏教的な瞑想法でサポート出来ていないところを持っているものととはスタンスが全く異言えますなります。

元来人間は神である、という惟神(かんながら)の教えが神道には伝えられています。しかし、日々、罪穢れがついてしまうものなので、それを祓う必要がある、という祓いの概念もまた神道にはあります。また、もともと、魂は静まっているものなのですが、日常の中で、知らず知らずのうちに、魂が分離してしまうため、それを戻すために鎮魂があります。

(※4) ピュアマインドフルネスの成功例も多く見られます。例えば、ヴィパッサナーが多かったミャンマーでは、当時汚職が多かったため、ヴィパッサナーを公務員に義務付けしたところ、汚職が減ったという史実もあります。

3. 情緒とコミュニケーションプラットフォーム


3.1. 情緒を整える重要性

祓い・鎮魂の効果として、情緒的に落ち着いてくるということが挙げられます。「阿吽の呼吸」「空気を読む」という表現があるように、ハイコンテクスト文化を持つ東洋人はお互いに「なんとなく」相手の意図を察しあうことで、なんとなく意志の疎通が可能です。

こうしたコミュニケーションを可能としているのが情緒であると研究所では考えています。

「知覚」という外界との接点・接線・接面とそこから得られた情報の演算を通して、コミュニケーションが生まれ、外界の階層を認識していきます。その演算の過程で、「発動」がおきると情動・感情・気分が生まれます。

研究所では、この演算を情緒プロセッサー、演算が行われる場を情緒プラットフォームと定義し、こうした情緒の働きをシステマティックに捉える試みとして、「Mind Processor(マインドプロセッサー)」という概念を構築しています。

研究所では相手との最適なコミュニケーションのためには、最適な情緒の発動が前提であると考えています。そして斜めに構えず、素直に聞くというオープンマインドでいることで、初めて相手の言うこともよく分かります。自分も相手も、内面を素直に出しているという前提でコミュニケーションすることで、最適なコミュニケーションが構築されるのです。

心の中にさまざまな情動が発動している場合、オープンマインドな状態でいることはできませんが、祓いと鎮魂を行うことで、心の中を祓われた空の状態にすることができます。

その結果、情緒プロセッサーが最適に作動し、相手に対して、心をオープンにする、ということも自然と行われるのです。

3.2. 神とのコミュニケーションプラットフォーム

「元来人は神である」、という神道の惟神の感覚は、情緒で掴むことができます。例えば、人というものを産んだ、宇宙自然が「もともと罪を持っている」とは考えません。ありのままの状態で、宇宙自然は存在しています。本来、そこから生まれた人もまた、罪を持たないのという感覚は、情緒によってしか掴むことができないのです。1はなぜ1であるかを掴むのは、数学以前の問題であるとして、数学は情緒であるといった、岡潔の言葉が思い出されます。

他者とのコミュニケーションは、情緒がプラットフォームとなりますが、自然や宇宙や神とのコミュニケーションもまた同様に情緒をプラットフォームとすることで可能となります。

日本古来の惟神の精神は、情緒プラットフォームが支えているのです。その情緒プラットフォームを整えるための技法として、d.M が有効であるとわたしたちは考えています。